Black Lives Matter「黒人の命も大切」
先日、オーストラリアでは各州で、Black Lives Matter「黒人の命も大切」運動に参加する抗議デモが行われました。*このBlack Lives Matterについての日本語訳には様々な見解があるようですが、最終的には個人がどう受け止めるかの域になりますので、ここでは私が人の命には同等の価値があるという意味でとらえた日本語訳を使わせていただきます。
2020年5月、アメリカで黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警察官に抑え込まれ息ができず窒息死した様子が動画で拡散されたことがきっかけとなり、米国をはじめ、各国でニュースになりました。
この事件を発端にBlack Lives Matterという言葉が物凄い勢いで広がり人権活動運動が起こりました。(このスローガンは元々、2013年にアフリカ系アメリカ人の少年が射殺され、射殺した自警団員が無罪になったことがはじまりでした。)
アメリカのMapping Police Violenceのデータによると黒人が警察官によって殺害される数は白人より約3倍も高いというデータが出ています。
また今回の大きな動きからBlack Lives Matterという意味が「黒人の命だけが大切」という風に受けとられた誤解があり、これに賛同しない人達がAll The Lives Matter「全ての命が大切だ」というスローガンを作りました。
Black Lives Matterは、黒人の命も他の命と同じように価値があり大切にされるべきであるという抗議であり、このようなことに終わりを告げたいという思いの詰まった切望のスローガンで黒人の命だけが大切だと訴えているものではないと私自身は受け止めています。
アボリジナル・ピープル、拘留中の人権侵害を訴える抗議デモ
この抗議デモはアメリカで起きた出来事なのになぜオーストラリアと関係があるのか?と思われるかもしれませんがオーストラリアには約5万年以上も前からオーストラリア大陸に住居していた先住民、アボリジナル・ピープルが暮らしています。
しかし17世紀末にイギリス人の侵略から植民地化し、その後アボリジナル民族の迫害、更には生活、教育、政権、において様々な白豪主義的抑圧を受けてきたという歴史があります。
そして今回、アメリカで起きた事件をきっかけに、オーストラリアでも先住民アボリジナル・ピープルの拘留中における死亡率の高さの制度的な人権主義に対する抗議デモが起きたのです。
新型コロナウイルスの影響でソーシャルディスタンスや規制がかかっている州も多い中、マスクや消毒液を用意したデモスタイルとなりましたがメルボルンでは総勢約1万人、シドニーでは約2万人もの人々が抗議デモに参加しました。
この抗議デモはアボリジナル・ピープルの拘留中における死亡率の高さがアメリカ先住民への非道的な行為と同等であることへの抗議運動の連帯を表明するものでもありました。
抗議デモに参加した1人のアボリジナルの女性がいいました。
Black lives matter, “because I woke up black today, and I’m going to wake up black tomorrow”.
(黒人の命も大切だ。なぜなら、私は今日も、そして明日目覚めても黒人なのだから)
オーストラリアで拘束されて死亡するアボリジナル民族の数は2年間で437人という数がGurdian Australian Findings によって報告されています。
おわりに
私自身オーストラリアに17年間住んでいて、自分が黄色人種だからといってひどい人種差別を経験したことは殆どありません。
それでも、ニーハオ!と声をかけられたり、アボリジナルの人にツバをかけられたり、大きな声で、ここはあなたの国ではない!国へ帰れ!と言われたことなどもあります。(よく聞く卵をかけられたという経験はありませんが。)
またオーストラリアに来た当初、アボリジナルの少女が無表情で私を睨みつけていたことがありました。その時はアボリジナル民族の背景のことなどは全く知識を持ってなかったので、あの少女の鋭く突き刺さるような目の奥に潜んでいたメッセージを理解することができませんでした。
大抵のオーストラリア人は陽気で基本的に親切です。
警察官にもみんなと同じように挨拶をしますし、道を歩いていて突然職務質問されたり、お店に行って万引き扱いをされたりることもありません。
しかし私が別の人種であっても同じことが起きるのでしょうか?
今回の抗議デモには沢山の白人オーストラリア人も参加していました。
少しずつでも個人個人が互いを尊重し理解を深め合っていけば、人種というひとくぐりで判断するものではなく、無条件に人間として当たり前の人権を平等に保障される社会作りをしていくことが可能になるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。
アボリジナル・ピープルの歴史背景について書きました。
コチラ>>>オーストラリア先住民アボリジナル・ピープルを知っていますか?